『パワハラ』ーそれはいかなる職場で起こりうる現象です。医療現場は密室が多いため実はパワハラは非常に多いです。パワハラを減らしたい、それは私のこのブログのテーマでもあります(1億円は関係ないですが、、笑)
私は医師として働いてきて早5年、研修医のローテート先も含めると2件のパワハラを目の当たりにして、1件は自分の直接関わりはない部署のパワハラを聞きました。
私が最も印象に残っているパワハラの事案はある研修ローテ先の医局内で起こっていました。その医局は非常に真面目な人が多いことで有名な某有名教授擁する内科の医局でした。
2グループ性で病棟を回していいたのですが私が配属されたグループ内のグループ長がその部下へパワハラを行なっていました。
少しでも間違った発言をすればナースステーションに響き渡るほどの声で怒鳴り、その人の考えを全て否定するようになっていました。しまいにはグループカンファもその先生抜きでやるようになりました。当然パワハラを受けた先生は居場所がなくなり仕事を遅刻しがちになったり休みがちになりました。そのことを他の医局員達は正直見て見ぬふりをしていました。医師免許を取得した能力があるような人でもこんなことをするのかと私は心底失望しました。
そこで私は行動をすることにしました。研修医の分際で医局長にグループ編成を見直す必要があるのではないかと直訴しました。元々人数も少なくてグループを組むのも難しい医局でしたが、医局長の先生は何とかグループ編成を考え直してくれました。それからというとパワハラを受けていた先生は元気を取り戻し、患者さんにも評判の研修医にも優しい先生になりました。もし私が声をあげなければその人の医師人生は終わっていたかもしれません。
もう一件は私も直接被害を受けました。ある医局の先生がメール魔で鬼のようにメールを送ってくるのです。最初は業務連絡のみでしたが、途中から『あの患者のあのカルテの記載はわかりづらい、あの治療はこうすべきだった』ということを夜間、休日問わず送ってくるようになったのです。最初は有難く受け止めていましたが、その先生が日当直をしていた正月休みに大量のメールが送られてきたときには正直参りました。メールでの圧力、実はかなり精神的ダメージを受けるということに気がつきました。その先生はパワハラになっていることなんで全く気づいていないと思いますが、実はこんなところにもパワハラは潜んでいるのだと実感しました。
意外とパワハラの温床になりやすいのは『事務部』だと思います。その理由は医師側の立場から色々言われることに対して、上は必死に従わないといけないと考える真面目な方が多いからだと予想します。
事務部の知り合いから相談を受けたのは、ある女性職員が上司から毎回強い口調で叱責を受けているというものでした。そしてその職員はメンタル的に弱ってしまい、さらにミスを繰り返しまた叱責されるという悪循環になっていたということです。事務室内でのことなので医師、看護師を始めその他の職員はなかなか目につかないところでした。
いわゆる閉鎖空間が起こすパワハラの典型例でした。相談を受けた私は相談者に対して、『事務長に上申して職場環境を改善する必要があるのでは』と言いました。相談者はその通り動いてくれました。しかし何とその上申はもみ消されたのです。これも閉鎖空間だから起こりうることです。もしかしたら事務長は、大ごとにならないように、病院長に知られないようにそのような行動をとったのかもしれませんが、それが最もとってはいけない行動です。パワハラを受けていた職員は数ヶ月後に辞職してしまったようです。
何で私がこんなにパワハラに興味を持つようになったか。それは身近な人がパワハラを受けて数年間たった今も元の生活に戻れていないからです。たかが仕事上の上下関係でその人の人生を壊しかねないような事態を引き起こす筋合いは全くありませんし、そのような職場で働く必要は全くありません。
『パワハラは閉鎖空間で起こりやすいこと』
『目の当たりにした者は身分など考えずに適切な処置を取る必要があること』
『上申をしたのにも関わらずよくならない組織は組織の抜本的な改革が必要である』
このようなことを私は考えています。一人一人が職場環境をよくするように常日頃から考える必要があります。
皆様の周りにパワハラを受けている人はいませんか?もしいれば適切な対処法を持ってあなた自身が動いて欲しいと考えます。受けている本人も1人で悩まず周りの知り合いや、SNSでもいいですし、パワハラ委員会でもいいですし、まずは相談して欲しいです。大人の世界からパワハラを消すこと、それが子供の世界のいじめを減らす第一歩だと考えます。
令和の世の中からハラスメントが消えること私は強く望み行動していきたいです。 Dr. F
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