小児科専門医への道『NCPR』『PALS』

このブログでは1小児科医が小児科専門医取得までの道のりを記載しております。

小児科専門医への道

試験まで3週間を切りました。

本日は久しぶりに1日フルで休みです。

『NCPR』と『PALS』について『医師国家試験問題』『小児科試験問題集』を中心にまとめてみました。

目の前の赤ちゃんを救え!!『NCPR』

まずは医師国家試験を復習


115F57

生後30分の男児。在胎40週0日、出生体重2,230g、Apgarスコア8点(1分)、8点(5分)で出生した。状態が安定していることを確認して早期母子接触を行った。その後、新生児室に入室した。入室時、低出生体重児のため小児科医の指示で次のバイタルサインを測定した。①体温35.5℃。②心拍数130/分。③血圧65/35mmHg。④呼吸数70/分。⑤下肢SpO2 90%(room air)。

下線部のうち新生児の基準値内のバイタルサインはどれか。2つ選べ

正直実臨床をやっていても若干迷う微妙な値が多い印象です。
②心拍数は基準内であることは明確
迷うとしたら①③⑤
しかし落ち着いて問題を読んでみましょう。「出生後30分でSpO290%」は流石に呼吸障害として小児科・新生児科での管理となるでしょう。
体温も35度台であれば保温開始するでしょう。
③血圧は落ち着いて考えれば正常です。
ということで答えは②③
少し迷いました。

年齢別正常収縮き血圧の下限
成熟児(生後28日まで)60mmHg
乳児          70mmHg
1歳−10歳      (70+2×年齢)mmHg
10歳以上       90mmHg 

114E27

日齢0の新生児。在胎39週5日、経腟分娩で出生した。啼泣が弱く、保温および口腔内の羊水の吸引と皮膚への刺激を行った。出生後30秒の時点で自発呼吸を認めず、心拍数110/分であった。

まず行うべき対応はどれか。
a 気管挿管b 胸骨圧迫c 生理食塩液の静脈内投与d アドレナリンの静脈内投与e バッグバルブマスクによる人工呼吸

NCPRを理解できているかの基本問題です。
出生後1分以内で呼吸が確立していない児へはまずは呼吸の補助を行います。(自発呼吸がない場合はバックバルブマスクによる人工呼吸を行います。)

113B10

出生後30分を経過した在胎40週の新生児で異常を疑う所見はどれか。a 直腸温37.1℃b 心拍数120/分c 収縮期血圧60mmHgd 呼吸数44/分e SpO2 85%(room air)

115Fの類似問題がここに出ていたのですね。SPO285%であれば皆さん迷わず選べると思います。

112F57

出生直後の新生児。在胎38週3日で常位胎盤早期剥離と診断され、緊急帝王切開で出生した。Apgarスコアは0点(1分)であり、直ちに蘇生を開始した。

Apgarスコアの項目で最初に1点以上になるのはどれか。a 呼吸b 心拍c 皮膚色d 筋緊張e 刺激に対する反応

これは実際にNCPRを受講した時に口うるさく言われた項目です。新生児はまずは呼吸が確立してから心拍が確立します。
心拍がないbabyでも落ち着いて呼吸の確立を目指せば、心拍確立することが多いです。

112D38

出生直後の新生児。妊娠36週までの妊婦健康診査では児の発育は順調であったが、妊娠37週2日に母親に下腹部痛と性器出血が出現し、胎児心拍数陣痛図で遅発一過性徐脈を繰り返し認めたため緊急帝王切開で出生した。心拍数60/分。出生時から自発呼吸がなく、全身にチアノーゼを認める。刺激をしても反応がなく、全身がだらりとしている。娩出後30秒の時点で自発呼吸を認めない。外表奇形を認めない。

この時点で開始する処置として適切なのはどれか。a 胸骨圧迫b 静脈路確保c 足底および背部刺激d バッグバルブマスク換気e 持続的気道陽圧法〈CPAP〉

114E27の類問です。バックバルブマスクなのかCPAPなのか一瞬迷いますが、呼吸してないのであればバックバルブマスクをするでしょう。バックバルブマスクで呼吸補助をすれば心拍が再開して自発呼吸が確立してき、呼吸補助不要もしくはCPAPのみで酸素化も上がるはずです。

111E58

日齢0の新生児。経膣分娩で出生した。在胎39週3日、出生体重は3,160gであった。分娩中に胎児心拍数陣痛図で遷延一過性徐脈が繰り返し出現していた。出生1分後の時点では全身にチアノーゼを認め、心拍数80/分、呼吸は不規則であった。刺激に対して顔をしかめるが全身がだらりとしていた。バッグバルブマスクを使って蘇生を行ったところ、出生5分後までに全身がピンク色になり、心拍数140/分、刺激で強く泣き、四肢をよく動かしていた。

この児の出生5分後の所見に基づく判断について、適切なのはどれか。2つ選べ。a 酸素化は良好である。b 末梢循環は良好である。c 呼吸器疾患は否定できる。d 今後の発達は正常である。e 先天性心疾患は否定できる。

Apgar5分値が蘇生のかいあって10点に戻っています。1分値が仮死に入っております。神経学的に予後不良の可能性はあります(実際は正常のことも多い印象です)
ここで仮死の復習です。

  • 新生児仮死は出生時の呼吸循環不全を主徴とする症候群である。
  • 生後1分、5分のアプガースコア4~6点を第1度新生児仮死、3点以下を第2度新生児仮死という。
  • 新生児の蘇生は保温装置下に気道を確保し、呼吸管理を行なう。
  • 神経発達障害をきたすことがあり、長期的なフォローアップが必要になる。

アメリカ産婦人科学会では以下の4つの状態を満たしたものを新生児仮死としている。

  • 臍帯動脈血で高度の代謝性アシドーシス(pH < 7.00)。→新生児低体温療法の適応となります。
  • 出生5分後アプガースコア3点以下。
  • 新生児早期から痙攣、筋緊張低下、昏睡、低酸素脳症など神経症状が出現する。
  • 新生児早期より多臓器不全の症状を示す。

小児科試験問題集を確認

Q 4-26
日齢0男児、35週5日で出生。常位胎盤早期剥離のカイザーで出生。
四肢全く動かさない
全身チアノーゼ
皮膚刺激で弱い啼泣
心拍数80回
吸引で顔をしかめる
Apgarは何点?

国家試験レベルですね!!

Q 4-27
日齢0男児。36週、NRFSでカイザー
心拍90回、呼吸努力なし、口唇チアノーゼあり、四肢緊張なし、吸引で顔をしかめる
刺激で状態改善せず。
次に行うことは??

バックバルブマスクによる補助換気です。国家試験にも類門がありますね。

過去問には出ていなかった項目をNCPRテキストにて復習しておきます。

新生児の胸骨圧迫は1・2・3・バック 1サイクル2秒で行いましょう。
人工呼吸と胸骨圧迫:1分間では人工呼吸30回と 胸骨圧迫90回となる。
胸骨を押す深さも目安は、胸郭包み込み両母指圧迫法(両母指法)が推奨され,胸骨の下 1/3 の部位を胸郭前後径の 1/3 が凹む深さまで 圧迫する
薬物投与のために臍帯にカテーテルを挿入する場合は二本指圧迫法(二本指法) を考慮する

いつ出会うかわからない小児急変に対応しよう!!『PALS』

PALSスタディガイドなるものを購入してみました。(ボリュームが多すぎてとても全部は学べない印象)
いい機会だと思って小児救急学んでみましょう!!

まずは国家試験の過去問から

115E38

9か月の男児。RSウイルス感染症よる呼吸窮迫とチアノーゼのため入院中である。在胎40週、体重3,250gで出生した。呼吸心拍モニターのアラームが鳴ったため、医師が病室に行ったところ児の顔色不良を認め、気道開通の体位をとった。末梢静脈ルートは確保されていて蘇生のための準備は整っている。心拍数50/分、整。呼吸数10/分。SpO2 60%(酸素テント40%酸素投与下)。呼吸音は両側弱く喘鳴を認める。右上腕動脈の脈は触知した。

直ちに行う処置はどれか。a 除細動b 胸骨圧迫c アドレナリン静注d 吸入酸素濃度増加e バッグバルブマスク換気

RSV今年もひどいアウトブレークでした。(現在進行形)
RSウイルスは怖いよーとよく言われますがこういう感じで酸素投与にも関わらず酸素化が保たれない児がある一定数出てくるんですね。
鼻汁と痰で溺れてしまうイメージです。
いくら酸素濃度を上げても酸素化が保てない場合はバックバルブマスク換気、人工呼吸器管理が必要になることがあります。

113B33

4か月の乳児。RSウイルス感染症による呼吸障害のため入院している。呼吸・心拍モニターのアラームが鳴ったため研修医、指導医および看護師で患児を診察に行ったところ全身にチアノーゼを認めた。気道確保をして呼吸を確認したが、自発呼吸を認めない。心電図モニターでは心静止である。末梢静脈路は確保されており、心肺蘇生の備品は病室に準備されている。

直ちに行うべきなのはどれか。a 酸素投与b 気管挿管c 電気ショックd アドレナリン投与e 胸骨圧迫と人工呼吸

小児では医療従事者が2人以上いる場合は、15:2の心臓マッサージと人工呼吸を開始してください。1分間に100回-120回のリズムで!!(換気回数は1分間あたりに10回から12回)

1人でやる場合は30:2で良いようです。

深さ:5cm or 胸郭の1/3が凹むように行います。

小児科試験問題集

Q 19-1

心肺蘇生における薬物治療で誤っているものはどれか。

アドレナリンは0.01mg/kg静注
AED使用後持続するVT/Vfにはアミオダロンを投与(5mg/kg 20-60分かけて投与)
上室性頻拍症に対していはアデノシンをゆっくり静注する×→急速静注して下さい
塩化カルシウムのルーチン投与はエビデンスなし
低血糖に対しては10%Gluを5-10mL/kg投与する。

Q 19-2

アドレナリンの第2投与ルートは骨髄  ×気管
気管チューブのサイズは4+年齢/4mm
深さの目安は歯根から12+年齢/2cm
CPR中の換気回数は10-12回 過換気にしないように!!
人工呼吸機初期設定 1回換気量は体重×0.6-0,8mL(50kgだと300mL)

蘇生中に使用する薬の確認
アドレナリン0.01mg/kgを静注
アミオダロン5mg/kg(20-60分かけて投与)
アデノシン0.1mg/kg急速静注→上室頻脈に対して使用

Q 19-9

敗血症ショックなどのwarm shockではflash CRTとなる。

JCS 乳幼児用復習

Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態

Ⅰ-1.あやすと笑う。ただし不十分で、声を出して笑わない
Ⅰ-2.あやしても笑わないが、視線は合う
Ⅰ-3.母親と視線が合わない

Ⅱ.刺激すると覚醒するが刺激をやめると眠り込む状態

Ⅱ-10.飲み物を見せると飲もうとする。あるいは乳首を見せればほしがって吸う
Ⅱ-20.呼びかけると開眼して目を向ける
Ⅱ-30.呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する

Ⅲ.刺激をしても覚醒しない状態

Ⅲ-100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
Ⅲ-200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
Ⅲ-300.痛み刺激に全く反応しない

勉強するだけでやや緊張してくる分野ですね。

しかしいつ出会うかわからない場面なので頭に入れておきます!!

中毒・ショック・異物誤飲と救急は幅広いです、、まずは基本を抑えつつ本番までにどの程度知識を増やせるか頑張ってみます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました