心房中隔欠損症
心房中隔欠損症は臨床経過、診断に至る過程が非常に重要です。
先天性心疾患の10%を占め、成人で偶発的に発見される先天性心疾患としても臨床的に重要ですね。
臨床所見
○聴診所見ー心房中隔欠損症の心雑音は左房と右房のシャント部で聞こえる音ではない!!
① Ⅰ音亢進
② Ⅱ音固定性分裂→肺血流量の増加による
③ 収縮期駆出性雑音→左右シャントにより肺動脈血流量が増加したことによる相対的PSが胸骨左縁第2肋間で聞こえます。
ここで復習!VSDの心雑音は? 胸骨左縁第4肋間に汎収縮期雑音を聴取します。(ASDとの対比よく問われます。)
○臨床経過
幼少期は基本的に無症状で経過することが多いです。
症状が出始めるのは思春期以降に動悸や息切れの症状として出現します。→起立性調節障害としてフォローされていた方で実はASDがあったなどありそうですね。
シャント量が多い症例では、30、40代で心房性不整脈、肺高血圧なでの合併症が見られ始めます。
ちなみにIEの合併が多いのはVSDです!!ジェット乱流がより強いVSDでIEがおこると覚えておきましょう。
カテーテル検査 近年の医師国家試験でよく出ます
右房における酸素飽和度のステップアップが見られます。
医師国試の過去問で確認してきましょう。
114A45
70歳の男性。息切れを主訴に来院した。最近、趣味のグラウンド・ゴルフをするときに息切れを自覚するようになり受診した。喫煙歴はない。心音はII音の固定性分裂を認め、胸骨左縁第2肋間に収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。下肢に浮腫を認めない。手指にチアノーゼ、ばち指を認めない。心電図は洞調律で不完全右脚ブロックを認める。胸部エックス線写真(A)及び心エコー図(B)を別に示す。その後心臓カテーテル検査を行った。この患者の各部位の酸素飽和度(%)で正しいのはどれか。
上記のような問題で右心房のステップアップが問われます。簡単にいうとSVCの酸素飽和度よりRAの酸素飽和度が高くなっている所見が見られます。
113A28
3歳の男児。生後1か月ころに心雑音を指摘され、心エコー検査で診断、経過観察されていた。シャント疾患の精査のために施行された心臓カテーテル検査の心腔内酸素飽和度を以下に示す。
上大静脈:82.5%、下大静脈:87.8%。
右心房:92.9%、右心室:91.3%、肺動脈:92.8%。
左心房:98.9%、左心室:98.5%、大動脈:98.4%。
最も考えられるのはどれか。
過去問で理解していればとても簡単に解ける問題ですね。
治療
自然閉鎖は稀と言われています。
軽症以外では20歳ごろまでに、パッチ閉鎖、経皮的カテーテル心房中隔閉鎖術を行います。
まとめ
① 心房中隔欠損症は、心音が重要。聞こえる音は穴を通る音ではない!!
② カテーテル所見で右房のステップアップ!!
③ 治療は穴を閉じる。(手術 or カテーテル治療)
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