無給医ー医師側の意見 なぜ無給医が令和の世の中に存在するのか。

コロナ騒動の陰で『大学院生がコロナ検体採取のために動員されています』との報道があります。

そして大学院生は基本的には学生の立場ですので、無給であることが多く無給医と呼ばれています。

ただ、大学院生は大学からの給料は無給ですが、他の病院やクリニックで診療をして給料をもらっているとので収入がゼロではないことは知らない方は知らないと思います。

私は現在医師5年目、今年から大学院生となりました。

私の病院は大学院生でも無給とならない制度があるため、現在も大学からの報酬を通常通りもらっております。この点は恵まれています。しかし研究と普段の勤務を並列する必要があるため研究日の設定はありません。

しかし、隣の大病院の大学院生の話を聞くと、大学で通常通り週3日勤務しているにも関わらず、大学からの月収は数万円しかもらっておらず、アルバイトで生計を立てているとのことです。

大学院生のゴールである実験の成果を出して、学位を取るまでに最短で4年はかかりますので4年間は大学からの月収は数万円となります。

大学病院勤務医のアルバイト、多岐に渡りますが、半日で4万円程度(都内の水準)、高くて8万円くらいという感じでしょうか。

したがって無給医と言われる医師も週で2日程度はアルバイトを行なっているので、月収にして60万程度はもらえるような感じになると思います。

それではなぜ大学院生は大学病院で勤務する必要があるのでしょう。

これは人手不足が根底にあります。医局制度、非常に面倒くさい側面があり、自分の大学の付属病院にプラスしてその他関連病院の人員も確保する必要があります。

一般企業であれば人員が足りない部署があったら一般公募可能ですが、医局は医局内で解決する必要があります。従ってよっぽど人員が充実している医局でないと不足の事態に脆弱です。

  • メインのA病院→20人
  • 関連B病院→15人
  • 関連C病院→10人
  • 関連D病院→5人
  • 大学院生4人

この全てが医局人事となります。医局人事で手が回らない病院があった場合、簡単に他病院の医師のヘルプをもらうことができないのです。

例えば、B病院の〇〇医師が医局をやめて開業することになったとします。そうすると、医局内人事でA病院の××医師がB病院に行ければいいのですが、なかなかそうは簡単に調整できないことがあります。

そこで調整役となりやすいのが、大学院生であることが多いです。

その訳は大学院生は駆け出しの若手医師が多いですので、所帯を持っていないことが比較的多く身軽ですし、何より医師特有の修行という名目で各病院を回ることがあるからです。

医療界の考え方として、若手の業務は修行という考え方が根付いております。

若手のうちは教育を受ける側なのでたとえ無給であったとしてもいいでしょうという考え方があるのです。そして今までの人生でお金について不自由してこなかった医師はそのことになんの違和感も感じないのです。数年後には安定した収入が得られるでしょうという未来への期待が強いからという理由もあるでしょう。

今でこそ研修医は少なくとも月20万以上はもらえるところがほとんどですが、昔は5万円しかもらえなかったという諸先輩方の話をよく聞きます。つい20年前ごろまではそのような感じだったそうです。医局内でよく笑い話で『パンの耳をもらって食べていた』と話をされる先生も多いです。

とは言っても現在の令和の世の中で無給医あまり響きはよくないでしょう。

今後医療機関でも積極的に医師以外の経営者が運営に関与することで古いしきたりを壊せるのではないでしょうか。

私の勤務しているクリニックのマネージャーは医師ではない方ですが、経営感覚や職場のマネージメントに非常に長けており、素晴らしいなと思います。

そのクリニックは、今回の新型コロナが中国で報告が出た瞬間、現在のようにマスク、ガウン等の医療物資が不足ことを予測し、半年分購入していたそうです。

そして現在は余ったマスクを、近隣の大学病院、救急隊、患者さん、運送業等に配布しているというのです。

こういう方が大学病院の理事等になれば超改革が行われるのではないでしょうか。現在は大学病院の理事は教授の引退後の道として用意されていることが多いのでここを変えて行く必要があるのでしょう。

医療機関の改革、令和の私たちの世代で是非とも達成しましょう。  Dr.F

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